血 界 戦線 チェイン。 TVアニメ『血界戦線』公式サイト

TVアニメ『血界戦線』公式サイト

血 界 戦線 チェイン

チェインは「存在希釈」という自分の能力を使いすぎて自力で戻れないほど存在が薄まってしまいました。 世界の誰も彼女を認識できない、つまり存在が消滅してしまう危機でした。 人狼の能力は因果律にも干渉し「そこにいなかった」ことにしてしまう、事象の書き換えを極小規模で行うものです。 序盤でザップの顔でサーフィンした足跡も、買ってきた花瓶も、ネジに渡したメモ帳も全て消えていて、彼女の行動が遡って無かった(チェインという女性は最初からこの世界にいなかった)ことにされそうでした。 そこで出番となるのが人狼局が管理していた「符丁」。 今回のケースのようにやり過ぎて消えかかった人狼に対する救済措置としてそれぞれに用意されています。 符丁とは人狼たちが最も現世に執着するものを書き記したものです。 自身の弱点にもなりかねないので仲間同士でも秘密にしています。 スティーブンたちはこの符丁を使って、存在が薄まったチェインの深層意識に「そこに存在していたい」と強く訴えかける作戦に出ました。 チェインの符丁は「スティーブンがいきなり家に遊びに来る」でした。 想い人である彼にあの汚部屋を見られてたまるか!という乙女心を利用して消えかかったチェインを引き戻しました。 もちろん設定したのはチェイン自身なので自業自得ですが。 鈍感なスティーブンはなぜこれでチェインが復活するのか全く気づいてません。 スティーブンが扉を開けた瞬間にチェインの存在が確かなものとなり、花瓶など消えかかっていたものも全て元通りという流れです。

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血 界 戦線 チェイン

「あれ、チェインさん」 「やっ」 クラウスさんとスティーブンさんは二人揃って何処かへ出かけていて、ザップさんは女の人と一緒。 ツェッドさんもさっき出かけるのにすれ違った。 ソニックはさっき散歩に行った。 ライブラの本部に戻ると、チェインさんだけがソファーに座っていた。 テーブルにコーヒーとドーナツ、向かいの席に座って僕も買って来たハンバーガーを食べる。 「珍しいっすね、此処でお昼ですか?」 「そう。 報告書も持って来たんだけど、今は誰もいなくて。 だから、留守番」 「今日は皆さん出かけてますからねー」 こうしてチェインさんと二人だけでご飯を食べるの、何気に初めてのことじゃないか? ちょっと緊張しつつ齧りついたハンバーガーはいつも通り美味しかった。 向かい側ではチェインさんもドーナツを齧ってる。 ピンク色のチョコレートがかかってるし、たぶんストロベリーだろうなぁなんて検討をつけたら、目の前に差し出された手。 「へ?」 「一口どうぞ。 気になるんでしょ?」 「あ、えっと……いただきます」 そんなつもりは無かったけど、せっかくなので有難くドーナツの欠片を貰って、口に放り込んだらやっぱりストロベリーだった。 HLでこういう味って、なんやかんや貴重だったりするよな。 甘くなった口にポテトを摘まんで、せっかくなのでおすそ分けする。 お返しと言えば、チェインさんも一本手を伸ばして摘まんでいった。 他愛もないおしゃべりも進む。 僕がしゃべって、チェインさんが返事をして、たまにチェインさんから話しを聞いて。 静かだけど悪くない、まったりとした空気だ。 (あー、いいなぁ。 こういうの) ザップさんと一緒だったらこうはならないし、クラウスさんやスティーブンさんはちょっと緊張する。 ツェッドさんとも気軽な空気にはなるけど、チェインさんとはまた違う感じ。 色々と話してみれば、チェインさんの知らない面もたくさん分かって。 ついつい、いろんなことを聞いてみたくなる。 「そういえば、人狼の方々って存在の希釈が出来るんですよね」 「ええ。 壁も擦り抜けるし、姿も見えなくなるけど……それが?」 「その希釈っていうのにも、レベルがあるって聞いたんです。 だから、僕の目だとどれくらいまでなら、見えるのかなぁって」 「ああ……それは、試したことが無かったね」 ちょっとした好奇心だった。 不可視の人狼が、チェインさんが能力を行使すれば見るとか見えないとかの話じゃ無くなるのは分かってるんだけど。 神々の義眼でもってしても見つけられない、でも、何処までなら見続けることが出来るのか。 少し気になった。 「試してみる?」 「え、いいんですか?」 「希釈し過ぎなければ、特に問題は無いよ。 やり過ぎると符牒を実行しなきゃいけなくなるから、戻れるくらいまでね」 あっさりと頷いたチェインさんが、軽く目を伏せる。 と、途端に何だか、影が薄くなるっていうか、存在感が無くなった。 目の前にたしかに見えるのに起きた変化に驚いてしまう。 それからどんどんチェインさんの存在は薄くなって、その存在をよく見ようとジッとチェインさんを見つめる。 いつも細めてる目も開けて凝視した。 ふ、とチェインさんが顔をあげて手を振る。 よくわからないままに振り返したら、今度は向こうが驚いた顔をした。 さらに首を傾げると、チェインさんが少し考えるように視線を彷徨わせて、ふっと息を吐いた。 唐突に、存在感が戻ってくる。 知らず僕まで詰めていた息を吐き出して、ぐったりとソファーに寄りかかった。 なんか、結構疲れていた。 「……凄いね、あれが見えるんだ」 「えーっと……すみません、どう凄いのかさっぱり……」 「あそこまで希釈したら、エメ姉……人狼の中でも一部くらいにしか見つけられない。 クラウスさんやスティーブンさんにも見つかったことは無いよ」 「えっ、そうなんですか!?」 「人狼同士は同じ能力を持ってるから見えるって言うより、分かるんだけど。 見るっていうことのラインのギリギリまで希釈したんだけど、レオなら見えるんだね」 「おー……っても、いつもは俺、見えてないっすよ?」 「希釈の種類の問題かな。 行動するときは存在自体を希釈しちゃうけど、今のは見えるものについてだけ希釈したから」 「へえ……ただ希釈っていっても、いろいろなんですね」 ってことは、だ。 本当、見るの分野についてはチートだなコレ。 でも、道理で疲れたわけだ。 チェインさんを見続けるのに、随分と集中してたみたいだし。 残ってた食べかけのハンバーガーを平らげて、満足感に一息吐いた。 ちょうどチェインさんもドーナツを食べ終えたみたいで、ぼんやりとした様子でコーヒーを飲んでいる。 その様子を眺めていて、また一つ、好奇心が首を擡げるのを感じた。 「希釈って、自分しか出来ないんですか?」 「……どういう意味?」 疑問を思ったままに口にしたら、チェインさんが首を傾げた。 えっと、と言葉を選んで問い直す。 「たとえばですけど、チェインさんと手を繋いだら僕も一緒に希釈出来たり、とかしないです?」 「ああ、どうかな。 出来ないことは無いと思うけど、いつも通りには出来ないと思う」 「いつも通りって?」 「……存在が消えるギリギリ?」 「あ、はい。 そこまでは出来なくていいっす」 それはチェインさんくらいしか出来ないってスティーブンさんが言ってたのを聞いたことがある。 他の人狼の人たちでも出来ないって。 あっさり言っちゃうんだから、チェインさんってやっぱ凄いよなぁ。 ってか、あれ? そこまでじゃないにしても、一緒に希釈できるんだ。 (言うべきか、言わぬべきか) 好奇心は依然と首を擡げ中。 うんうんと唸ったら、存外簡単に、餌は目の前に転がってきた。 「やってみる? 慣れないとちょっと変な感覚かもしれないけど」 「……いいんですか?」 「いいよ」 立ち上がったチェインさんが、すとんと僕の隣に座りなおした。 おお、と一人分と空けずに座られてちょっと慌てる。 でも、チェインさんにはあまり気にする事では無いようで。 はい、と差し出された手にどうしていいか分からなくなったら、静かに促された。 「手、出して」 言われるままに差し出された手に、僕の手を重ねる。 軽く握られて、さっきと同じように軽く目を伏せたチェインさんから、存在感がどんどん薄れていく。 (う、わ) 握られた手先から、なんだろう、違和感。 傍目からは変わって見えないのに、何かが流れ出ていくような、中身がどんどん減っていくっていうか。 いまいち、なんて言ったらいいのかが分からない。 手先から腕、肩と体全体からどんどん流れる。 足元がおぼつかなくなる、しっかりとした自分を形成する足場が不確かになっていく。 思わず、強くチェインさんの手を握った。 そこだけは確かな形を持ってる気がして、縋るようにぎゅうっと握りしめる。 「恐い?」 「いえ、恐いっていうより……なんか、変な感じですね」 「慣れないとそうかも。 もう片方も手、貸して」 「あ、はい」 言われるままに空いていた片手を差し出すと、そちらもきゅっと握られた。 両手を繋いで向い合せ、結構ドキドキする。 周りの景色は変わらないのに、僕だけが、僕とチェインさんだけがどんどん、世界から薄れていく。 隔離されていく。 それってなんだか、少し寂しい。 「……ん、出来た」 「おー。 っても、変な感じはしますけど、あんまり変わったように見えないっすね」 「見えるものは変わらないからね。 でも今くらいまで希釈したら、他の人には見えないよ」 「そうなんですか?」 「うん。 ほら、立って」 「わ、ま、待って」 手を引かれてソファーから立ち上がった。 チェインさんはそのまま、手を引っ張って歩き出す。 「レオ、私に委ねて」 ソファーの背もたれを軽々飛び越えて、机を擦り抜ける。 大道芸のように空中で一回転を決めて、頭からの着地は床を擦り抜けて一つ下の階へ。 トランポリンのように床を蹴って、また階段を使わずに上の階へ戻り、壁に接した書棚を駆け上ってくるりと回る。 最後はクラウスさんの机に綺麗に着地、観客のいないサーカスの終焉。 「どう?」 「すごいっす」 コテンと傾げられた首に、そう返すのが手一杯。 何せサーカスの間中、ずっと手は握られっぱなし。 つまり僕もサーカス団員だったわけ。 ソファーを飛び越えて、机を擦り抜けたり、階段を使わず上と下の階を行き来してみたり、くるりくるりと羽みたいに宙を舞った。 そりゃもう目も回るような動きの数々。 クラウスさんには悪いけど、まだ暫くは机に座らせてもらう。 なんせ机を擦り抜けたり床を擦り抜けたりとした瞬間に、自分の体が消えちゃうような感覚を味わったもんで。 もう動きの全部、というより何もかもチェインさんにお任せしたけど、やっぱりあれも慣れるものなんだろうか。 人狼の人にとっては当たり前に出来る事だって言うけど。 「……レオは、全部私に委ねてくれたから」 「へ?」 「机、擦り抜けられないかなって思った。 でもレオは私を信じてくれてたから……少しでも恐がって、拒んでたなら、希釈は解けてたよ」 存在を薄めるっていうのは、ものすごい集中力が必要なんだという。 自分だけの希釈でも凄く集中するのに、更にもう一人を一緒に希釈するっていうんだから、その集中力は僕が想像する以上なんだろう。 そして、それを成す為には相手にも全てを委ねてもらわないと駄目だってことらしい。 委ねられた相手の全てを自分と同様に処理するってことで、少しでも拒否されていれば。 「そうなったら、レオは床に激突してたね」 「痛いこと言わないでほしいです」 と、まあそういう事になっていたようだ。 チェインさんが言ったことの意味がようやく理解できた。 出来れば事前に説明いただきたかったけど。 何気なく被害を避けられていたことにほっと一息吐いたら、近づいてくる足音に気づいた。 チェインさんも気づいたようで、二人揃ってドアを見るとちょうど開くところで。 入ってきたのはクラウスさんとスティーブンさんとギルベルトさん。 どうやら用事は終わったみたいで、歩きながらずっと話し続けてるクラウスさんたちに、ギルベルトさんがお茶を入れに行った。 (おー!!) 三人とも、僕とチェインさんに気づいた様子は無い。 希釈は声までは消せないって聞いてたから、心の中で感動する。 言葉に出来ない感動をチェインさんに知らせたくて彼女を見ると、伝わったのか目があったチェインさんは少し照れたように頬を染めてそっぽを向いた。 それに、別の意味で感動する。 照れてるチェインさんってめっちゃレア! 普段からあまり表情が変わらない(ザップさんを罵る時は別)ので、なんだかこっちまで照れてしまった。 「それで……妙だな」 「うむ」 スティーブンさんが会話を止めて、何かを見ている。 クラウスさんも同じものを見てて、僕は二人の視線を追いかけた。 (あ) テーブルに僕とチェインさんが食べてたハンバーガーとドーナツの名残基捨て忘れたゴミ。 チェインさんもまずいと思ったのか、困ったような顔をしていた。 ああ、後でスティーブンさんに怒られる。 「おそらく、少年とチェインだろう。 だがあの二人が、こんな風にゴミを放置していくか?」 「いや、二人ともしっかりしている、それは無いだろう。 となれば、ゴミを片付ける暇もなく移動した、ということか」 「そうとも限らない。 そう時間は経っていないようだし、この場所が敵対組織に察知されている可能性は限りなく低いうえ、チェインは人狼の特性故においそれと捕まる事は無い」 「レオナルド君においては、緊急時には私たちに連絡することを義務付けているが……何か連絡は」 「いや、何も」 「となると、いったい何処に……」 ああ、クラウスさんもスティーブンさんもめちゃ真剣に考えてくれてる。 どうしよう、これ此処でいきなり、此処にいますなんて言ったらまずいかな。 いっそ、チェインさんと一緒に外に出てもらって、それから希釈を解いて戻ってくるとか? 急用でちょっと出てたってことにすれば、怪しまれないよね。 よし、それでいこう。 まずはチェインさんに一緒に外へ出てもらって、 「キッ」 「ぅえっ、ソニッうわぁああああああっ!!」 「あ、ちょっとレ、オッ!?」 いきなり僕の目の前をソニックが通過して、思わず声をあげたうえにしかも仰け反った反動でバランスが崩れた。 僕たちが座っていたのはクラウスさんの机の上、両手は繋いだまま。 体勢を崩した僕の片手がチェインさんの手から外れ、でももう一方は繋いだまま。 つまりどうなったかといえば、二人揃って机から落ちた。 当然ながら希釈も解けて派手な登場をした僕たちに、クラウスさんたちの驚愕に満ちた声が届く。 「レオナルド君、チェイン!!」 「おいおい、大丈夫か?」 「へ、へーきです……すみません、チェインさん。 大丈夫、ですか」 「私は大丈夫。 でも、いきなりどうしたの?」 「あー、えっと、ソニックがいきなり目の前を通ったので、思わず」 「キッ?」 いてて、と起き上がってテーブルを見ると、ソニックがハンバーガーの包み紙をツンツンとつついていた。 まったく、呑気そうにしちゃってさ。 どうやらソニックが僕たちの目の前を通り過ぎたのは偶然のようだけど、チェインさんには悪い事をしちゃったな。 怪我が無いようで何よりだけど。 立ち上がって埃を払う。 隣でチェインさんも同じようにして立ち上がっていた。 もう一度、チェインさんを確かめる。 うん、怪我は無さそうだ。 「少年、チェイン」 「はい?」 「今、何処から現れた」 やけに怖い顔したスティーブンさんが、僕とチェインさんを見てる。 返事をしてから、半歩足が下がった。 「えーっと……」 「私の能力で何処までレオと一緒に希釈できるのか試していました。 その最中にお二人が戻ってきて、戻ろうかと思っていたところでレオがソニックに驚き、バランスを崩したことで私も集中が切れて希釈が解けました」 「つまり、今の今まで君たちはそこにいた、と」 「はい」 「……ふむ」 一から十までチェインさんが説明してくれて、俺ってば何もすること無し。 スティーブンさんはそれを聞いてから何だか考え込んじゃって、なんだか置き去りにされた感じだ。 「チェインの能力は、他者にまで及ぶことが可能なのかね?」 興味深そうにクラウスさんが問いかけてくる。 チラリとチェインさんを見上げると、今度も彼女が答えてくれた。 「一概に可能とは言えません。 相手の全てを自分と同様だと考えるので、私自身が相手を信頼できなければ無理ですし、逆も同様です」 「ならば、レオナルド君とチェインはお互いに信頼し合っていたということになるのだね」 「……そう、なりますね」 「あ、あははは……」 クラウスさんのまっすぐすぎる言葉は、時々まっすぐすぎて返す言葉に詰まります。 言葉にされると途端に恥ずかしくなったりして。 でも、そうか。 僕がチェインさんに全部委ねたのと同じで、チェインさんも委ねられた僕を全部受け入れなきゃ駄目なのか。 それがクラウスさんの言う、信頼し合ってるってことなのか。 恥ずかしい、けど悪いものでは無いし、嬉しいんだけど。 気恥ずかしさに頬を掻いた。 「……あと、あまり大きい存在は無理です。 レオくらいなら、いけます」 「ちょっ、それ要ります!?」 「とても重要」 存外に小さいって言われました。 ええー、と気恥ずかしさも飛んでいく。 でも、たぶんチェインさんなりの照れ隠しなんだろうとは思った。 まあ、でも。 見つかった気まずさも消えたし、そろそろゴミの片づけでもしないと。 って、思ったんだけど、 「なあ、チェイン」 「はい?」 考えるのを終えたスティーブンさんに話しかけられて、チェインさんが今度はそちらを見る。 「少年と一緒に希釈した状態、どれくらいまで継続できる?」 「……平時であれば、おそらく数時間は。 ……あの、なにか」 「うん、ちょっと人狼局に行って来るよ」 スティーブンさんはとてもいい笑顔で、帰って来たばかりの本部から出て行ってしまった。 何が何だか分からず頭の中は疑問符で一杯だ。 でも、一つだけ分かってる。 ああいう笑顔の時のスティーブンさんが、実は悪い事(敵に対しても、僕たちに対しても)を考えている時だって。 目の前は戦場だ。 いや、目の前どころか周りが、僕自身が、戦場の最前線にいるのだけど。 血界の眷属が出たと報告が来たのは、昼食を食べ終えた頃だった。 HLが騒がしいのはいつもの事で、その騒がしさに紛れて出てきた。 街は瓦礫の山と化し、逃げる人々と異界人。 立ち向かう、僕の上司に先輩、仲間の人たち。 「レオ、見える?」 「はいっ」 壊れたビルの三階、上階は壊れて無くなり、階段は二階半ばで崩れていた。 このフロアもいつまで持つか分からない、でも此処がちょうどよかった。 眼下では血界の眷属を相手にクラウスさんたちが戦ってる。 瓦礫に囲まれて、ちょうど広場のようになっている。 この場所からは、その広場全体が見渡せた。 神々の義眼を見開いて、血界の眷属を追いかける。 三階という距離なのに、時折流れ弾のように瓦礫が飛んで来るけど、微動だにせずにただ見続ける。 瓦礫が体のど真ん中を通過した。 一瞬、自分の体が霧のようにぶわりと広がり、また体の形に再構成。 ほら、だから俺は大丈夫。 それでもすぐには決着がつかない、スティーブンさんが吹き飛ばされて、背後で息を呑む音。 僕を抱きしめるチェインさんの腕に力が篭って、俺の体も緊張に強張る。 早く、早くとただ祈っていた。 やがて、クラウスさんによって血界の眷属が密封されると、重なり合った溜息。 思わず笑った。 「終わったみたいっすね」 「そうね」 降りましょう、と誘われて頷く。 抱きしめられていた腕が離れて、両手を繋いで全部をチェインさんに任せる。 壊れかけのビルから飛び降りて、軽い体はふわりと瓦礫から瓦礫へ飛び移った。 地面を蹴るのはチェインさんで、俺は風船のように彼女の手に捕まって浮いているような感じだけど。 後ろで、さっきまでいたビルが崩れたのに気付いて、間一髪だなぁと他人事のように思う。 いつだって何処だって、HLは戦場だ。 「ああ、お疲れ様。 少年、チェイン」 「スティーブンさん、クラウスさん、大丈夫ですか?」 「問題ないよ。 ザップ、ツェッド! 戻るぞ!」 密封した血界の眷属の十字架をギルベルトさんに預けてるクラウスさんと、そこに合流したスティーブンさんの傍に立って、チェインさんが希釈を解いた。 近くで見れば酷い怪我を負ってるのも分かったけど、すぐにでも生死に関わるような傷では無い。 それにまず安心した。 ザップさんとツェッドさんは何やら言い合っていて、でもスティーブンさんに言われるとすぐに歩き出した。 よかった、とりあえず本部に帰れそうだ。 「レオナルド君、チェイン、大事ないかね」 「あ、はい平気です! 瓦礫が飛んできましたけど大丈夫でした。 チェインさんのおかげで」 「そうか……チェイン、ありがとう。 レオナルド君もだが、君にも今回は常より負担をかけてしまった」 「ご心配には及びません、ミスタークラウス。 特に問題ありませんから」 そうチェインさんはクラウスさんに返した。 この前、チェインさんが俺ごと希釈が可能だと知ったスティーブンさんから提案された作戦がある。 それは戦闘中、俺とチェインさんを一緒に行動させること。 最初は意味が分からなかったけど、つまり作戦中に流れ弾とか敵に見つかる危険から僕を遠ざけて、血界の眷属の諱名を読むことに集中させる為、ってことだった。 たしかに、血界の眷属相手の場合、諱名を読もうとしても相手が大人しくしてる訳は無いから。 遠くからで見るのは難しいからそれなりに近づかなきゃいけないし、そうすれば直接攻撃されなかったとしても危険はある。 チェインさんに俺諸共存在を希釈してもらって、攻撃の回避と、敵から俺を隠してもらう。 俺は逃げながら諱名を読む必要が無くなるから、諱名をいち早くクラウスさんたちに伝えられる、ってことだ。 (スティーブンさんの作戦、たしかにやる意味はあるんだけど) ただ問題は、平時ではなく戦闘時にどれだけ希釈が出来るのか、っとことだった。 人狼の存在の希釈は、その能力の凄さの代償のように、多大な集中力が必要だと言う。 だから、少しでも集中が乱れれば希釈が解けてしまうのだと。 普段から戦闘時でもチェインさんは敵に一切見つけられることなく任務を遂行してるから、一人でならそれは全く問題が無い。 ただこの作戦のように、一人ではなく俺も一緒に希釈した場合。 俺自身は見ることに集中していて、ぶっちゃけチェインさんに全部委ねるとか考えてることは出来ない。 その状態で希釈が出来るのかって話だったんだけど。 相当に集中しないと駄目だけど、チェインさんは出来た。 一度、実験として俺が見ることに集中した状態でチェインさんに希釈してもらったんだけど、とりあえず見えなくなるまでは可能だった。 ……手を繋ぐだけでは足りなくて、チェインさんにガッツリ後ろから抱きしめられて、だったけど。 チェインさんが言うには、より密着した方が希釈しやすいとかでその為なんだそうだ。 理由は分かったけど滅茶苦茶照れます。 戦闘中は気にしてる暇もないけど、何せ命がけなもんで。 「……っ……」 「チェインさん?」 さあ帰ろう、と全員が瓦礫の中を歩き出して、僕もチェインさんと一緒に歩いていたけれど。 ふら、と踏鞴を踏んだチェインさんに足を止めた。 見上げると、随分と顔色が悪い。 慌てて額に手を伸ばそうとして、でもそれは出来なかった。 「あー……ごめ、れお」 「チェインさん!!」 呟いたチェインさんがぐらりと倒れて、伸ばした手は支えるために方向転換。 何とか受け止めた体は、想像以上に熱かった。 「所謂、知恵熱、でございますね」 「そうですか……」 あの後、俺の叫びに気づいたクラウスさんたちが戻ってきて、チェインさんは大急ぎでライブラの仮眠室へと運ばれた。 僕はただチェインさんの傍で額のタオルを変えたり、水を用意したりするくらいしか出来なかったけれど、クラウスさんたちの方で医者と薬の用意をしてくれていた。 そして下された診断が『知恵熱』だった。 どうやら、僕と一緒に希釈するのに集中し過ぎて、脳がオーバーヒートしたとか。 申し訳なさでいっぱいになる。 「別に、レオのせいじゃないのに」 「いやいや、でも僕が戦闘中に見るしか役に立てないからで」 「それが重要なんでしょ。 私だって、情報収集が主だから、戦闘ではあまり役に立てないし」 あ、これ堂々巡りのやつだ。 そう思って僕は口を噤む、チェインさんも同じだったのか、何とも微妙な顔をして口を閉じた。 仮眠室には、僕とチェインさんの二人だけ。 眠るチェインさんが起きるまで看病しようと思って、でも起きた途端にこれだ。 僕とチェインさんの主張は平行線で、交われそうにない。 内心は困り果てて、たぶん顔にも出てたけど、僕はチェインさんが眠ってる間に進んだ話をしようと口を開く。 「スティーブンさんが、人狼局の方と色々話したみたいなんですけど、すみません。 詳しいことは僕にも分かんないんですけど、とりあえず、二人同時の希釈はしばらく保留ってことらしいっす」 「……ごめん、私が上手くやれなかったから」 「違います! ……いや、あの……」 思わず叫んでしまったら、チェインさんがびっくりしたと目を丸くしたので言葉が詰まる。 えーっと、と何とか続けた。 「チェインさんがやれたから、普通に出来るものなのかって、僕もスティーブンさんたちも思ったんです。 でも、人狼局の人たちは、普通は出来ないって言ってて」 「あー……そうなんだ。 やろうと思った事が無いから、どうなのか分かんなかった」 「で、まあいろいろ検討した結果の、保留ってことみたいです。 難しいならそれなりに段階を踏んで可能にすべきだってことみたいで」 「そっか」 「だから今度、暇な時でいいんで一緒に希釈する練習、してもらいたいんですけど」 「……驚いた」 「へ?」 何が? そう首を傾げる。 チェインさんは言葉の通り、心底驚いたように俺を凝視していた。 何か変な事言ったっけ、と自分が言ったことを反復してみるけど、特に変な事は言ってない、と思う。 「レオから誘われるとは思わなかった」 付き合ってもらうのは自分だから、こっちから誘うつもりだった、と彼女は言った。 言われてから、ああ、そうかとも思う。 実際のところ希釈するのはチェインさんで、存在を賭けた危険を負うのも彼女だ。 俺はただ見るだけ。 そう考えれば僕の方から誘うのは見当違いな気がして、たぶん今の僕は見るからに落ち込んでいると思う。 少し考えれば分かったことなのに、何してんだろ。 「そんなに落ち込まなくていいよ。 むしろ、誘ってくれて有難いから」 「でも、チェインさんに負担、かかりますよね」 「それを言うならレオもだよ。 でも、実際は言うほど負担にもならないと思う……最初に希釈した時は、何とも無かったから」 「あれは、戦闘中とか非常事態じゃなかったからですって」 「練習して、戦闘中でもその状態に近づけるようにするってことでしょ? なら平気、出来るよ」 「その根拠はいったい……」 「だって」 俺が原因で倒れてしまったも同然で、ずっしりと心に圧し掛かる罪悪感でヘタレる俺に、だけどチェインさんは優しく笑ってくれた。 「レオは私を信じてくれるし、私もレオを信じるから」 だから大丈夫、なんて言われて、立ち直らない訳にはいかないじゃないか。 そうでしょ、と問われて、殆ど反射的に深く頷き返してしまってから、僕とチェインさんの二人三脚は始まったのだ。

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「血界戦線」原作とアニメの違う部分について見てみた

血 界 戦線 チェイン

編成ボーナス• ミドルデュオ• スリップストリーム• バラエティーズ• ディバインブレス 耐久パで挑戦! 今回のコラボ攻略は通常、中衛打撃の足止めやリトパによる押し出し戦略が最適解。 75倍になるため比較的耐えやすい。 中衛の2体はぜひ入れたい スティーブン、チェインの編成はぜひともしておきたい。 そして輝くカントリーソウル 採用するソウルは、コラボユニット全員を強化できるカントリーソウル。 回復役のミシェーラの回復量も底上げできるため、クラウスを維持しやすくなる。 ザップはお留守番 コラボでの参戦ユニットは6体。 クラウスと壁役としての役割が重複してしまい、体力が低めのザップは残念ながら不採用に…。 Point!! ザップは怒りそうですが…我慢してもらいましょう。 多くのポイントをゲットできた。 挑戦を終えて 十分勝っていける ステータスがアップしていることもあり、高難易度クエストもしっかり攻略していけた。 ユニットの武器種やリーチのバランスがよく、まとまったパーティが組めたのも勝因となった。 Point!! 流石は普段からチームを組んでいる同士! 影のMVP、妹 表のMVPは耐久力に優れたクラウス、影のMVPは回復役を担ったミシェーラ。 この2体がいることで、攻略の道筋が立てられたといっても過言ではない。 Point!! ライブラのメンバーではありませんが、メフテルハーネでは後方から大活躍してくれました! 第3弾以降にも期待 今回のコラボで登場したのは、新登場のチェインを含めて6体。 まだまだ魅力的なキャラクターは多数存在しているので、第3弾以降があれば彼らの登場にも期待したい! メルスト攻略関連記事 ユニット関連のおすすめ記事.

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