このまま 君 を 連れ て 行く と。 魔王「坊や、このまま君を連れて行くよ」坊や「お父さん怖いよー」

このまま君を連れて行くよ

このまま 君 を 連れ て 行く と

消えてしまいたい。 冬に吐く白い息のような願いが、私たちを取り巻く空気を振るわせて、白紙の地図に姿を変えた。 楓ちゃんは玄関の前に立ち尽くしていて、私が扉を開けるなり彼女はそう呟いたのだ。 俯いたままの楓ちゃんの前髪に目を奪われる。 マンションの廊下を吹き抜ける秋風で、銀の髪がゆらゆらと揺れていた。 それは苦しみから生まれた言葉ではないようだった。 思わず口から零れてしまったといった声色で、それが却って痛切に本心であることを物語っていた。 私は楓ちゃんの視線の先で所在なく揺れる手を掴んだ。 力なくだらりとした両手を束ねるように強く掴んだとき、私は彼女が鞄すら持っていないことにようやく気が付いた。 「行きましょう」 私がそう言うと、楓ちゃんはコクコクと何回か頷いた。 玄関に置いてあった財布と、ポケットに入れていた私用のスマートフォンだけを持って、私たちは外へ飛び出した。 ステンレスの発券口から吐き出される橙色の切符を楓ちゃんに握らせる。 切符なんて何年も買っていなかった。 手のひらにすっぽり隠れるサイズのそれは、記憶の中よりも随分小さく感じられる。 楓ちゃんもどこか物珍しそうに手の中を眺めていた。 まるでそこで何かが息をしているかのように。 なるべく形に残らない物が良かった。 切符なら目的地に到達すれば、改札機が夢を食べる獏のようにむしゃむしゃと食べてくれる。 証拠は消えて、私たちだけが残る。 私は再び楓ちゃんの手を取って歩き出した。 しっかりと握り返されて、胸がほっとする。 出発寸前の電車に飛び乗って、私たちは白紙の地図にスタート地点を書き込んだ。 それ以上に何度も電車を乗り継いで、何色も切符を買った。 すでに日はどっぷりと暮れていて、二両編成の電車の中には私たちの他に誰もいないようだった。 ごとごと揺れる電車はゆりかごのように私たちを墓場へ運ぶ。 私は死ぬつもりはなかったし、楓ちゃんもきっとそんなつもりは毛頭ないだろう。 ただ、墓場の場所を確認しておきたかった。 目的地を知りたかった。 振動に合わせて上下左右に揺れ動くつり革が、車内の蛍光灯の光を反射して、夜闇を映す車窓の向こうを照らした。 灯台みたいだな、とぼんやり考える。 私たちが着くべき港はそこにあるのかもしれない。 「みとちゃん」 電車が揺れる不規則な車輪の音と沈黙で構成された空間に、楓ちゃんの声がゆったりと響いた。 とても穏やかな声だった。 「どこまで行くん」 「どこまでも行けるよ」 私は息だけで笑った。 楓ちゃんもつられて笑った。 「線路が続くまで?」 「線路がなくても平気だよ」 「どうやって進むの?」 「歩いてもいいし、走ってもいいよ。 楓ちゃんが好きなようにしていいよ」 「……みとちゃん体力ないやん」 「じゃあ、たまに休憩をください」 ふたりで顔を見合わせて笑う。 しばらく肩を震わせると、再び静寂が訪れた。 車内のヒーターが入る音がした。 足元から温かい風が吹きこんで、体が体温調節にぶるっと震える。 「私、消えちゃいたいって言ったやん」 楓ちゃんは指で少し折れ曲がった切符を丁寧に伸ばしている。 「そうですね」 「別になんか、大きな不安とか悩みとか、そういうのがあるわけじゃ、ないねんな」 彼女は自分でも不思議というように眉を下げた。 「どっちかいうと、幸せ。 今までこんなに色んな人に応援されること、なかったし」 楓ちゃんは少し間を開けて「みとちゃんもおるし」と付け加えた。 銀髪の隙間から見える耳が赤いことには触れなかった。 「でも、なんか漠然と怖い。 ずっとなんかに追われとるみたいな気分。 夏休み最終日を延々と繰り返してる、みたいな」 わかると思った。 幸せの先に待つものへの漠然とした不安。 私が頷くと、楓ちゃんも頷いて言葉を接いだ。 「それで、逃げたくなっちゃった」 絞りだしたような笑い声はひどく乾いていて、なぜか彼女は随分長く泣いていないのではないかと感じた。 幸せなのに泣く自分を、許せないのではないかと思った。 「逃げられそうですか」 「逃げられへんなぁ」 楓ちゃんはそう言うと大きくため息をついた。 諦めというより、覚悟を含んだ声だった。 ため息は自然と深呼吸に変わって、何度か繰り返される。 「でも、」楓ちゃんは言った。 「いつでも一緒に逃げてくれるって、わかったよ」 楓ちゃんは清々しく笑った。 瞳の奥に光が宿る。 それは灯台の光によく似ている。 白紙の地図に行く先を示す光だ。 「そうですね」 私は次の駅名を確認した。 次で降りましょうと告げると、楓ちゃんはわかったと答えた。 「ねえ、みとちゃん」 「なに?」 「これさ、失くしたことにしてええかな」 これ、というのは切符のことだろうか。 綺麗にシワが伸びた薄緑色の切符を、楓ちゃんは凝視している。 「これ、持っておきたい」 楓ちゃんは切符を持った手をぎゅっと握って、心臓のあたりに押し付けた。 まるでそれを失ったら鼓動が止まるかのように。 「いいんじゃないですか」 「ほんまに?」 「私も一緒に駅員さんに説明しますよ」 「なんて?」 「この子がはしゃぎすぎて線路に切符落としましたって」 揶揄するように両手を広げてみせると、楓ちゃんはいつものように大きな声で笑った。 「嫌やなぁ、それ!」 帰ることは戻ることじゃない。 帰っても、帰らなくても、どっちにしたって進んでいるのだ。 この地図に同じ道はない。 いつだって何かを得て、私たちは進む。 進み続けている。 進めなくなったら、少し休む。 休んだら、また進む。 君をどこまでも連れていくよ。 だから私のことも、連れて行ってよ。

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サカナクションの『新宝島』は映画と自分達の歌

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98 ID:e7VgZVI30. 87 ID:oNmSJpCvM. 51 ID:d4KCFc3x0. 95 ID:sZj52Uh00. 76 ID:9784VeDRa. 68 ID:g8ex8ikFd. 78 ID:VRB1AAHva. 52 ID:p63IFv1Ld. 39 ID:l2inxwDI0. 36 ID:1DO8ooQW0. 53 ID:uDp1aLtm0. 15 ID:B4x4IUQXa. 39 ID:llUJs4xAd. 82 ID:3o6UuuAF0. 54 ID:buLV7ONW0 こんな夜更けに、闇と風の中に馬を走らせるのは誰だろう。 それは父と子だ。 父はおびえる子をひしと抱きかかえている。 父「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」 子「お父さんには魔王が見えないの。 かんむりをかぶって、長い衣を着ている・・・」 父「あれはたなびく霧だ・・・」 魔王「かわいい坊や、一緒においで。 Yo、party time!」 魔王の娘「パティーターイ! 」 子「ボンバヘッ! ボンバッヘッ! ボンバヘッ! オトーサーン! 燃っえっだっすよーなー!あっつい魔王!」 父「Oh、Year!」 魔王「ボッ、ボッ、ボンバヘ!ボッボッボンバヘッ!」 子「ボンバヘッ! ボンバッヘッ! ボンバヘッ! オトーサーン! 無っ茶っしって知ったー!ホントの魔王ー!」 父「get down!」 魔王「Everytime wont you!何時でもFound you!逢いたいおーもいが〜ぁ〜!」 子「ボンバヘッ! オトーサーン! ボンバヘッ! オトーサーン! 魔王がぼくを見つけてKiss you!今夜も熱くなる!!」 父親はぎょっとして、体を全力で踊らせ歌った。 85 ID:MDqzcJsJd. 24 ID:nqObFiyP0. net 娘さん!? 23 ID:dy6pdCIOr. 32 ID:todjPvJz0. 04 ID:eCAhLTE00. 86 ID:5CSH1eUr0. 76 ID:KeXOPLRDr. 25 ID:6mkJwNe30. 46 ID:fjiVlWuKa. net oh yeahやろ 総レス数 29 5 KB.

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このまま君を連れて行くよ

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連れて行く側になりたい。 こんばんは。 今日も一日お疲れさまでした。 久しぶりの平日なので疲れました。 今週は4日行けばお休み 土日祝完全の考え なので、あと3日です。 思いつきでいつもブログを書くのです。 タイトルも内容も。 もう少し、この曜日は何書こうって決めようとは思って入るのですが、若輩者の私めにはまだまだ知識も知能も足りない訳です。 まぁ、それは後々の課題にして、今はまだリハビリと称した駄文を書き続ける訳です。 てか、から文字打つのが怠いので、ちゃんとしたノートか欲しいですね。 形から入るのは私の良くないスタイルです。 そして、飽きる。 良くないスタイル。 どうでも良いですが、若輩者って「じゃくはいしゃ」と読めなくもないですね。 弱歯医者。 強歯医者や中歯医者もあるのかなぁ。 さて、最近は色々勝手に切迫感を持っています。 別に納期に飲まれていないのですが、最近本を読んだりあれしたいこれしたいが山ほどあるのに片付けられていない恐怖心からでしょうか。 普段は割と自分に厳しいのですが、セルフコンパッションの考えを取り違えて甘々になっている気がします。 てか、やることの選択が上手く出来てないを選択の洗濯が必要かなぁ。 取り敢えず、戦略を立ててそれに沿った戦術を選択していかなければ。 何事も。 sakray06.

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